2019年9月例会開催報告

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2019年9月例会開催報告

皆さま、いつもお世話になっております。

なメ研2019年9月例会は、名古屋の老舗出版社「風媒社」編集長の劉永昇さんを招いて開きました。

ご本人が付けた演題は「出版メディアと排外主義ー『嫌韓』と『愛国』の現在地」。悪化する日韓関係や差別、ヘイトなどの問題を、出版メディアの状況から読み解いてくれました。

2005年の『マンガ嫌韓流』から言葉が独り歩きし始めた「嫌韓」。政治を中心に日韓関係が悪化すると「嫌韓本」が売れ、それに気づいた出版社が新たに参入したり、シリーズ化したりして大量に発行される…という関係に。韓国大統領の竹島上陸などで最悪の時期となった2012年以降は急増し、2014年は年間69点もの嫌韓本が出版されていたそうです。

一方で、業界内からも反発する動きがあり、同じ年に「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」が発足。今年の『週刊ポスト』の「断韓」(この言葉もかなり昔からあったそうですが)特集に対しては、今までにない市民レベルでの「アンチ・ヘイト」の動きが見られたそうです。

こうしたアンチ=反対側の動きをメディアからもつくることが使命だと劉さんは意識しながら、在日がルーツである自身が、そうでない日本人と「完全に理解し合えることはできない」と断言します。むしろ、微妙な違いはあるけれど、切っても切れない「中くらいの友だち」の関係でいいのではないか、と。私も仕事上、劉さんと10年ほどお付き合いをさせてもらっていて、少しモヤっとしていたことに、ハッと気付かされました。

話題は過剰な「日本称賛本」や、あいちトリエンナーレ、SNSの問題にまでつながっていき、会場からもさまざまな意見や質問が出ました。私自身の力量不足で何かまとめたり、深めたりといったことはできなかったのですが、参加者それぞれがメディアとして多様な「目」を一つ、二つ、新たに持っていただけたのではと思います。愛知淑徳大学でのゼミもある中、引き受けてくださった劉さん、参加者の皆さん、本当にありがとうございました。この様子は後日、会員専用ページに動画をアップします。

次回は10月25日(金)、3年ぶり!に「サイエンス」とメディアをテーマに開催する予定です。どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

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