2019年8月例会開催報告
皆さま、いつもお世話になっております。
なメ研2019年8月例会は30日、絵本作家/イラストレーターのなるかわしんごさんを招いて開催しました。
なるかわさんは現在、名古屋市在住ですが、出身は三重県四日市市。幼少期の経験から、あるテーマを持った創作活動に取り組みます。それは「児童虐待」です。
自身の虐待経験をカミングアウトするのも大変なことですが、なるかわさんはそれを乗り越え、さらにこう考えます。同じような経験をした人にも「生きていることが面白い」と思ってもらいたい。そのために、得意だった絵の才能を生かして絵本をつくり始めます。
しかも単に出版して売るだけではありません。子育てのNPOに加わり、自治体と連携して絵本を通じた親子のコミュニケーションを深めてもらう活動に取り組んでいるのです。
自治体が虐待問題に対応するために、1.6兆円以上のコストがかかっているそうです。しかし、虐待はどんな家庭にも起こりうるリスクがあり、しかも閉じられた中でその実態が正確につかめません。
現状は「穴のあいた水槽に水がジャーっと流れている状態」だと、なるかわさん。そのうえで「虐待を防止するだけでなく、予防の働き掛けをするべき」だとして活動を進めています。
個人的に、とても感心しました。絵本という「メディア」を通じて、これだけの大きな社会的課題に直接コミットしている。一方で絵本という「業界」はなかなか間口が狭く、それだけで「食っていく」のは至難の業。だからこそ、なるかわさんのソーシャル的な活動が絵本作家のみならず、クリエイターやメディア人にとっての新たなビジネスモデルになるといいなと思いました。
今回は教育や子ども支援など、いつも以上に幅広い分野の方にも参加していただき、とても有意義な会となりました。例会後は初めての「馬肉」居酒屋でまた盛り上がりました。なるかわさん、皆さん、本当にありがとうございました。この様子は会員専用ページで動画をご覧いただけます。
次回は9月下旬、揺れる日韓関係をテーマに開催する予定です。どうぞよろしくお願いいたします。